いまさら何をと思いながらことではある。スイカを栽培して十数年、最初は自家育苗していたが、上手くいかなかったこともあり今では大半を購入苗に頼っている。

 それでもチャレンジ精神と楽しみがてらに接ぎ木もやっている。今年こそはと思いながらあれやこれやと試行錯誤することが楽しいものである。

 ”断根挿し接ぎ”という一般的なやり方で、切り取った台木ユウガオの頭に穴をあけ、先を尖らせて切断したスイカの芽を挿しこむのである。接ぎ木をすることでスイカ特有の根からの病気を防ぎ安定的に栽培できる。

接ぎ木のポイント

 問題は挿しこんだスイカの芽がくっついて台木と一体化することができるかどうかである。もう一つは切り取った台木の軸から根が出て再生するかどうかと心配するが、これはほとんどが大丈夫である。接ぎ木の良し悪しに加えて重要なのは”養生”と言い、大手術を乗り越えて新しく生まれ変わることができるよう世話をすることである。

1 強遮光 養生の第一番は三日三晩、遮光して暗闇状態に保つのであるがこの間、体力を維持するための貯蔵用分が必要である。接ぎ木前日と当日午前中は光を十分に当て光合成による養分を貯えることが重要である。今年は接ぎ木適期の生育状態と天気周りが合致したことが良かったことである。

2 湿度の確保 スイカの芽と台木は根がない状態なので萎れてしまう。温床は遮光と合わせてポリをかけて密封し湿度90%以上を維持する。乾くようなら霧吹きを加えるとめったに萎れることはない。湿度の確保は割合簡単である。

3 温度の確保 台木と穂木が癒着するにはカルスというのができるという。根を切り外した台木からは新たな根が出て欲しい。このためには28~30℃の温度が必要である。電熱床で温度は確保できるはずであるが、夜間は冷えるし日照りが強いと高温になりすぎたりして厄介である。先般、県の研究所で講習を受けてきたという普及員さんの「温度が最も大事なようです。」の言葉を胸に世話をした。

 理屈はわかっていてもこれを実行することが難しいものである。上手くいった理由の第一番はやはり、きめ細かい世話をしたことと言えようか。温度管理に関しては地温の高い床と低い床、無加温の場所を用意し温度により移動させたり、被覆を加減したりと綿密に行った。これをできたのは新たに建てた育苗ハウスが家の前でほぼ付きっきりで看れたことである。また、育苗トレイをプラスチックの衣装箱に入れたことで環境変化が少ない状態で、損傷することなく移動できたことがあると考えている。

こんな様子

 今年は農林事務所の女性普及員の指導を受けながら隣町の新規就農者の作業体験を兼ねて、三人で72穴トレイ分を接ぎ木した。

 接ぎ木後7日目の状態である。具合の悪そうなのが数本あるが、台木の発根も確認でき90%超の育成率は上出来である。ずぶの素人の作業があったことを考えると接ぎ木作業に比べ養生管理の方がより重要なように思われる。

 そんなこんなで今年のスイカ作りが始まった。

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