七草を作り始めて10年余りになる。七草は1月7日に食するもので正月休みなしに収穫・調整作業をしなければならない。我が家では大年の暮れ30日には餅つき、31日には蕎麦打ちをするので年末年始はゆっくりしておれないのである。

事の始まりは、”顔見え出荷部会“で石川丸果へ初市の挨拶に出向いた時のこと、会社の一室に案内され七草の出荷を勧められたのである。正月休みもなく七草の何かも知らない者として、その場では苦笑いするしかなかった。ところが、折角の頼みを無下に断るのも気が引けたことと、面倒な商品を作り上げるというチャレンジ精神に火が付きハマってしまったのである。

                                      ナズナ

先ずは七種からの始まり。ダイコンとカブラ、山菜でも馴染みの深いセリは兎も角としてタビラコやハハコグサなどはネットでも種なんか売っておらず、顔見えの仲間と2人で野山をあちこち探し回ったものである。

今では8人に増えた生産者と情報交換会を行ったりしているが、自生株から採種しても芽が出なかったり、病気で腐ったりなど今だ生産が不安定な状況である。

そんな中、今年は1月1日午前10時頃から協力者2人の手伝いを頂きながらダイコンとカブラの収穫・調整作業を行った。さて、スーパーで販売されている七草をご存じであろうか。長さ21cm、幅15cm、高さ4,5cm程のパックに入っているのである。ダイコンは葉を折り曲げたとしても根長15cm程のもの、カブラは4,5cm程の大きさでないとパックに入らないのだ。

日本の野菜生産は大きいものを生産することを目指し、食糧供給に一定の役割を果たしてきた。近年は飽食の時代ともいわれ特殊需要に対応したミニサイズ商品も栽培さている。収穫物の大きさ左右するのは第一に品種特性、第二に気象条件、第三に肥料、水分、株間などの栽培管理がある。収穫方法として所定の大きさのものを順次収穫したり、一斉収穫したものを大きさ毎に区分して出荷したりと大半を収穫できるのに対し、七草の場合はパックに入る物だけが収穫対象である。生産者にとっては非効率的生産、消費者にとっては贅沢商品と言えようか。

生産者努力として商品化率を高めるよう、種まきの時期や栽培管理を改善することが大切と思う。

1月1日、今年の出荷目標500パックに向けダイコンとカブラを収穫・調整し終わった午後4時過ぎ“能登半島地震”勃発

さーあしたは、セリとナズナとタビラコを、収穫する必要もなく、今年の七草出荷は、強制的に頓挫させられた。

幸いにも協力者2人を含め家族ともに、倒壊した作業場の中におらずに、怪我もなく命があったことを喜びたい。

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