家庭菜園や農業を始める際、「適地適作」という言葉を目、耳にしたことがあるだろうか。「適地適作」とはWikipedia によると“地域の気候や土壌などの自然環境に合わせた農業で、その土地に最も適した農作物を栽培すること”とある。

 日本の食料を供給している農業、関わっている自然環境は光と土と空気と水である。これに作物の性質が加わる。言い方を変えれば植物は地球に根を張り、太陽の光を受けて、暖かい空気に守られ、空から降る雨を吸って瑞々しく生育しているのである。種を播き、苗を植え、日々あれこれと世話をしているのが人間である。

 「適地適作」は大事なことではあるが、腹を満たすには「適地適作」を作らなければならない。日本の食糧供給は成りゆかない。

 主食である米は水稲と言うように雨の多い日本に適しており、川からひいた水を畔を作って溜めるという世話をしての代物である。品種改良され日本全国で安定して米が生産されるようになっている。

 春になると現れる桜前線。桜の花が気温の上昇とともに約一ヶ月をかけて南から北方へと開花する。開花した時の気温が桜にとっての開花適温なのである。同じように野菜も発芽から収穫までの生育に適した気温が示されており、一般に春に種を播き、夏に向かって育つものを夏野菜と言い、やや低い気温を好むものが秋冬野菜と言われる。

 多くの野菜類や果実でも行われている早熟栽培なるものがある。露地の普通栽培に対しポリフイルムを被覆したトンネル栽培、ハウスで作る促成栽培などがあり、季節感なく年中に亘りスーパーの売り場を賑わしている。これは気温を調整することにより季節と作物の特性に応じ「適地適作」を作り出した結果によるものである。

 作物の生育には土の酸性度合いが影響している。例としてホウレンソウがアルカリ性でないと育たないとか、ジャガイモやサツマイモは酸性気味の土地でもよく育ち食糧不足を救ったものらしい。大半の野菜は酸性土壌では育たないので石灰質資材を撒いてpHを調整しなければならない。pHを化学的要因とすれば物理的要因と言われる耕土の深さと土中の酸素がある。普通の畑では土中わずかな所に耕盤があり、ゴボウやナガイモなどはすんなり伸びることができない。砂地ならまだしも耕土の浅い畑地では深く耕さないと長くてきれいなものは育たない。土中の酸素も重要である。植物の根は人間と同じように酸素を吸って呼吸しているのである。地下水位が高かったり、水はけが悪かったりすると酸素不足で根腐れを起こしたりする。水が好きなイネやレンコンは土中に酸素が少なくても葉から茎、根へと酸素を吸って生きるという“ならではの機能”を持っているらしい。

 地球と空気、そして最後は太陽と水。天気が良ければ光が注ぎ天気が悪ければ雨が降る。植物は太陽の光を受けて光合成を行う。世界中の家畜が餌とし人間が食料として頂いている野菜、果実、穀物は植物が光合成で育んだ代物だ。光合成を行う緑の葉を育てているのが水だ。

 ホームセンターなどで野菜類の種が陳列されている。春夏秋冬、季節に応じた種類が入れ替わっているのだろう、奇麗な写真入りやカラフルな袋は見ていても飽きない。どれが良いだろうかと迷ったりする。

 “日照りの年に不作無し”という言葉がある。近年の猛暑が気にもなるが天気は大事だ。太陽の恩恵を頂きながら熱中症にならないよう水は大事だ。植物も人間も!

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